認知症対応型通所介護 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、人員基準・設備要件・費用・収支モデル・運営ノウハウまで徹底解説します。
結論:認知症対応型通所介護はこんな方におすすめ
- 認知症の高齢者を対象に専門的な通所サービスを提供したい方
- 少人数制(定員12名以下)で家庭的な環境を整えたい方
- 地域包括ケアの一環として認知症ケアに特化した事業を展開したい方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:1名(常勤、専従が望ましい)
- 生活相談員:1名以上(社会福祉士、介護福祉士、社会福祉主事任用資格など)
- 介護職員:利用者3人に対し1人以上(3:1の配置)
- 看護職員:1名以上(非常勤配置可)
- 認知症実践者研修修了者:配置必須(生活相談員または介護職員が該当することが多い)
設備基準
- 食堂・機能訓練室(兼用可、少人数に対応できる広さ)
- 静養室(ベッド設置)
- トイレ(車いす対応が望ましい)
- 入浴設備(個浴が望ましい)
- 送迎用車両(小型車やワゴンタイプが多い)
法人・許認可
- 法人格:株式会社・NPO法人・社会福祉法人など
- 指定権者:市町村(地域密着型サービスの一つとして位置づけ)
- 必要書類例:
- 法人登記事項証明書・定款
- 運営規程・人員体制表
- 勤務表・職員資格証明(認知症研修修了証含む)
- 収支予算書・事業計画書
- 平面図・設備一覧・送迎体制資料
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 物件取得・改修費:400万〜1,200万円
- 家具・備品・入浴設備:200万〜600万円
- 送迎車両:150万〜400万円
- 人件費予備(3か月分):500万〜800万円
- 合計:1,250万〜3,000万円程度
月次収支モデル(例:定員12名・稼働率80%)
- 収入:300万〜450万円(介護報酬+加算)
- 支出:人件費200万〜280万円、家賃・光熱費20万〜40万円、送迎費用15万〜30万円
- 利益:30万〜80万円(利用率と加算取得に依存)
※赤字リスクを避けるには、早期に利用者獲得し稼働率70%以上を確保することが重要です。
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 自治体の介護保険事業計画で「認知症対応型通所介護」の位置づけを確認
- 法人設立または既存法人で事業追加
- 物件選定・改修(バリアフリー、小規模向け)
- 人員確保(特に認知症実践者研修修了者)
- 運営規程・勤務シフト策定
- 指定申請(市町村)
- 指定取得後、地域包括支援センター・ケアマネジャーへ周知
よくあるQ&A(FAQ)
Q:地域密着型通所介護との違いは?
A:認知症対応型は「認知症高齢者を対象」とし、定員も12名以下に限定され、職員に認知症研修修了者の配置が義務づけられています。
Q:どんな利用者が対象ですか?
A:医師の診断で認知症とされた要介護者です。軽度〜中重度まで幅広く受け入れ可能です。
Q:開設に特別な資格は必要ですか?
A:法人としての指定要件を満たすことが必要です。個人では不可。職員には認知症実践者研修修了者が必須です。
Q:補助金はありますか?
A:自治体によっては改修費や送迎車両の購入に対する補助制度が設けられている場合があります。
Q:採算が取れるまでの期間は?
A:半年〜1年程度で利用者が定着し、稼働率70%を超えると黒字化するケースが一般的です。