【元管理者が解説】特養の宿直は廃止される?夜間対応のルール変更とAI活用術
「特養の宿直って、もういらないの?」「夜勤だけで本当に回るのか不安…」
近年、「特養の宿直廃止」という言葉が独り歩きし、現場では混乱が生じています。制度が変わったことは知っていても、実際に自分の施設でどう対応すべきか、夜間の安全をどう守るべきか、悩んでいる管理者や職員の方は多いはずです。
この記事では、介護業界で20年以上、施設管理者として夜間体制の再構築に取り組んできた私が、この複雑な問題を整理し、現場が取るべき具体的なアクションを解説します。
制度の正確な理解から、宿直と夜勤の決定的な違い、そしてAI見守りシステムを活用して「宿直なし」でも安全・安心な夜を実現した成功事例まで。この記事を読めば、これからの夜間ケアのあり方が見えてきます。
【制度の真実】「宿直廃止」ではなく「配置義務の緩和」

介護AI戦略室:イメージ
まず、最大の誤解を解きましょう。「特養の宿直は廃止された」わけではありません。正しくは、「条件を満たせば、宿直員を配置しなくても良い(義務ではなくなった)」のです。
2024年の制度改正ポイント
以前は、特養には夜勤職員とは別に「宿直員」の配置が義務付けられていました。しかし、2024年(令和6年)度の制度改正により、以下の条件を満たす場合、宿直員の配置は不要となりました。
(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)」の送付について)
- 夜勤職員の配置基準を満たしていること
- 消防用設備等(スプリンクラー、自動火災報知設備等)が設置されていること
- 火災発生時の通報体制、連絡体制が整備されていること
つまり、ハード(設備)とソフト(体制)の両面で安全が確保できれば、宿直員という「人」に頼らなくても良い、という判断に変わったのです。
「宿直」と「夜勤」の違い|曖昧な運用がリスクを招く

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現場で混乱を招くのが、宿直と夜勤の業務境界です。ここは労働基準法にも関わる重要なポイントです。
| 項目 | 宿直(断続的労働) | 夜勤(通常の労働) |
|---|---|---|
| 主な業務 | 緊急時の対応、施錠管理、電話番など (原則としてケア業務は行わない) |
排泄介助、巡回、体位変換など (通常の介護業務) |
| 労働時間 | 労働時間には含まれない(許可制) | 労働時間に含まれる |
| 賃金 | 宿直手当(最低賃金の1/3以上) | 通常の賃金 + 深夜割増賃金 |
【元管理者の警鐘】
私が以前ヘルプに入ったある施設では、「宿直」という名目で、実際には夜勤並みのオムツ交換や巡回をさせていました。これは労働基準法違反のリスクが高いだけでなく、職員の疲弊と離職を招く最悪の運用です。「宿直廃止」の流れは、こうした曖昧な労働環境を是正するチャンスでもあります。
【現場の葛藤】宿直をなくして、本当に大丈夫なのか?
義務がなくなったからといって、すぐに宿直を廃止できる施設ばかりではありません。
- 「夜勤一人で、急変対応と避難誘導ができるのか?」
- 「休憩時間が取れなくなるのでは?」
- 「ご家族の不安をどう解消する?」
こうした現場の不安はもっともです。人を減らすだけでは、現場は崩壊します。そこで必要となるのが、「人の代わりに安全を守るテクノロジー」の導入です。
【未来の解決策】AI見守りシステムが「宿直」の代わりになる

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私が管理者をしていた施設では、宿直廃止と同時に、AI搭載の見守りセンサーを全床に導入しました。その結果、何が起きたか。具体的なエピソードをお話しします。
事例:AIセンサー導入で「巡回」という概念が変わった
【導入前】
夜勤職員は1時間おきに全居室を巡回。安否確認のためにドアを開ける音で、入居者様を起こしてしまうこともありました。職員は「何かあったらどうしよう」という不安から、頻繁に訪室していました。
【導入後】
ベッドに設置したAIセンサーが、呼吸、心拍、睡眠状態をリアルタイムでモニタリング。離床や体調急変(呼吸の乱れなど)を検知した時だけ、職員のスマホに通知が届くようにしました。
【結果】
- 巡回回数が激減:不要な訪室がなくなり、入居者様の睡眠の質が向上。職員の身体的負担も大幅に軽減されました。
- 異常の早期発見:「苦しそうにしている」「ベッドから落ちそう」といった予兆をAIがキャッチし、事故になる前に対応できるようになりました。
- 精神的な安心感:「AIが見守ってくれている」という安心感が、ワンオペ夜勤の孤独とプレッシャーを和らげました。
このシステムのおかげで、私たちは「宿直員がいなくても、以前より安全な夜」を実現できたのです。(参考:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」)
まとめ:制度変更をチャンスに変え、働きやすい環境を

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特養の宿直廃止と、これからの夜間対応について解説しました。
- 宿直は「廃止」ではなく「配置義務の緩和」。条件次第で置かなくても良くなった。
- 宿直と夜勤の業務内容を混同させることは、労務リスクが高い。
- 単に人を減らすのではなく、AI見守りシステム等を導入し、「人の目」を補完する仕組みを作ることが不可欠。
- テクノロジーの活用は、入居者の安全と、職員の働きやすさの両方を実現する。
「昔ながらのやり方」を変えるのは勇気がいります。しかし、AIという新しいパートナーを得ることで、私たちはもっと質の高い、人間らしいケアに集中できるようになります。この制度改正を機に、あなたの施設の夜間ケアも、未来へ一歩進めてみませんか?


