【元管理者が解説】特養は在宅酸素でも入れる?受け入れ基準とAI活用による安全管理
「在宅酸素を使っているけど、特養に入れるの?」「夜間に酸素が止まったらどうしよう…」
呼吸器疾患などで在宅酸素療法(HOT)を行っている方にとって、特養(特別養護老人ホーム)への入居はハードルが高いと感じられるかもしれません。「医療行為が必要だから」と断られるのではないか、という不安はごもっともです。
この記事では、介護業界で20年以上、施設管理者として数多くの医療依存度の高い方を受け入れてきた私が、在宅酸素の方の受け入れ実態と、安全に暮らすためのポイントを徹底解説します。
医療行為の線引き、費用の仕組み、そしてAI見守りセンサーを活用して「夜間の呼吸状態」を常に見守る最新の安全管理まで。この記事を読めば、医療ニーズがあっても安心して暮らせる特養の選び方が分かります。
【結論】在宅酸素の方も特養に入居可能!ただし条件あり

介護AI戦略室:イメージ
まず結論から言うと、在宅酸素療法を行っている方でも、特養への入居は十分に可能です。
在宅酸素(酸素濃縮装置や携帯用ボンベの使用)は、比較的管理が容易な医療的ケアに分類されます。ご自身で管理できる方はもちろん、管理が難しい方でも、施設の体制が整っていれば受け入れ可能です。
受け入れの可否を決める3つのポイント
- ご本人の管理能力:ご自身でカニューレ(鼻に入れるチューブ)の装着や、流量の確認ができるか。
- 施設の看護体制:日中だけでなく、夜間のオンコール体制や緊急時の対応フローが確立されているか。
- 医療機関との連携:酸素業者や主治医との連携がスムーズに行えるか。
【元管理者の経験談】
私が管理していた施設では、在宅酸素の方を積極的に受け入れていました。鍵となるのは「夜間の対応」です。ご自身で管理できない場合、夜中にカニューレが外れても気付けないリスクがあります。そのため、後述するAIセンサーの導入や、巡回頻度の調整などで安全を確保していました。
「医療行為」の線引き|介護職は何ができる?

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在宅酸素において、介護職員ができること・できないこと(医療行為)の線引きは非常に重要です。
| 行為 | 実施者 | 備考 |
|---|---|---|
| 酸素流量の調整・設定 | 看護師・医師 | 医療行為にあたります。 |
| カニューレの装着・交換 | 看護師・本人 | 原則として医療行為ですが、緊急時などは状況によります。 |
| 酸素ボンベの交換 | 看護師・家族 | 介護職員が行うことは推奨されません。 |
| 機器の電源ON/OFF | 介護職員OK | 日常生活援助の範囲とみなされます。 |
| 外れたカニューレを戻す | 介護職員OK | 単に外れたものを戻す行為は可能です。 |
(参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」)
費用と制度|障害者手帳や保険適用について
Q. 費用は高くなる?
特養の利用料自体は変わりませんが、在宅酸素療法にかかる医療費(機器レンタル料など)は、引き続き医療保険の対象となります。施設に入居しても、医療機関から「在宅酸素療法指導管理料」として請求されます。自己負担額は保険割合によりますが、月額数千円〜1万円程度が一般的です。
Q. 障害者手帳は何級になる?
在宅酸素を利用している場合、呼吸器機能障害として身体障害者手帳(1級・3級・4級)の対象となる可能性があります。等級は動脈血酸素分圧(PaO2)などの検査数値によって医師が判定します。手帳を取得すると、医療費助成や税金の控除などが受けられるため、未取得の場合は主治医に相談しましょう。
【未来の安全管理】AIが「呼吸」を見守る時代へ

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在宅酸素の方にとって最大のリスクは、「夜間に酸素が外れていても、誰も気づかないこと」です。これまでは、職員の定期巡回に頼るしかありませんでした。
しかし今、AI(人工知能)がその常識を変えています。
AI見守りセンサーの活用
ベッドのマットレス下に設置した非接触センサーが、ご利用者の呼吸数、心拍数、睡眠状態をリアルタイムでモニタリングします。
- 呼吸の乱れを検知:「呼吸数が急に増えた」「無呼吸状態が続いている」といった異常をAIが検知し、即座に職員のスマホに通知します。
- 離床の検知:酸素チューブがついたまま起き上がろうとすると転倒のリスクがあります。AIが離床動作を検知し、職員が駆けつけることで転倒を防ぎます。
【元管理者の視点】
私が導入した施設では、このAIセンサーのおかげで、夜間の不要な巡回(ドアを開けて安眠を妨害すること)をなくしつつ、「苦しい時だけ確実に気付ける」体制を作ることができました。SpO2(酸素飽和度)が低下する前の「呼吸の変化」をAIが教えてくれるため、重篤化する前に対応できた事例も多々あります。(参考:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」)
まとめ:テクノロジーと人の連携で、安心の入居を

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特養での在宅酸素受け入れについて解説しました。
- 在宅酸素の方も特養入居は可能。ただし、看護体制や本人の管理能力による。
- 医療行為の線引きを理解し、施設側と「誰が何をするか」を明確にしておく。
- AI見守りセンサーなどのテクノロジーを活用している施設なら、夜間もより安心。
酸素が必要だからといって、特養を諦める必要はありません。医療と介護、そしてAIの力を借りて、安心して暮らせる場所を見つけてください。


