地域密着型特定施設入居者生活介護 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、人員基準・設備要件・費用・収支モデル・運営の実務ポイントまで徹底解説します。
結論:地域密着型特定施設入居者生活介護はこんな方におすすめ
- 定員30名以下の有料老人ホーム・ケアハウスなどを運営したい方
- 地域密着型サービスとして、介護度が高い方も入居できる施設を作りたい方
- 地域包括支援センターや医療機関と連携しながら、入居者の生活を支援したい方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:1名(常勤・専従)
- 生活相談員:1名以上(常勤、社会福祉士等が望ましい)
- 看護職員:1名以上(入居者の健康管理対応)
- 介護職員:入居者3人に対して1人以上(3:1配置)
- 計画作成担当者:介護支援専門員(ケアマネジャー)
設備基準
- 居室:原則個室(7.43㎡以上/室)
- 食堂・機能訓練室:共同スペースとして設置
- 浴室:個浴または機械浴の設置
- トイレ:車いす対応型を設置
- 静養室:必要に応じてベッドを設置
法人・許認可
- 法人格:株式会社・NPO法人・社会福祉法人など
- 指定権者:市町村(地域密着型サービスのため)
- 必要書類例:
- 法人登記事項証明書・定款
- 運営規程・人員体制表
- 勤務表・資格証明書
- 収支予算書・事業計画書
- 建物の平面図・設備一覧
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 建物取得・改修費:5,000万〜1.5億円(30床規模のため高額)
- 家具・備品・入浴設備:1,000万〜2,000万円
- 人件費予備(3か月分):2,000万〜3,000万円
- 合計:8,000万〜2億円程度
月次収支モデル(例:定員29名・稼働率90%)
- 収入:1,500万〜2,200万円(介護報酬+家賃・食費)
- 支出:人件費1,000万〜1,400万円、家賃・光熱費100万〜200万円、食材費200万〜300万円
- 利益:100万〜300万円(稼働率と加算取得に依存)
※採算を取るには「稼働率90%以上」を目標にし、医療連携・看取り体制を強化することが重要です。
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 自治体の介護保険事業計画で「地域密着型特定施設」の整備方針を確認
- 法人設立または既存法人で事業追加
- 物件選定・建築(居室数・基準を満たす施設整備)
- 人員確保(介護職員・看護師・ケアマネジャー)
- 運営規程・勤務シフト策定
- 指定申請(市町村)
- 指定取得後、地域包括支援センター・ケアマネジャーへ周知
よくあるQ&A(FAQ)
Q:一般の有料老人ホームとの違いは?
A:介護保険の指定を受けた「地域密着型サービス」であり、介護度の高い方も入居可能です。
Q:定員は何名まで?
A:地域密着型のため、定員は29名以下に制限されています。
Q:開設に特別な資格は必要ですか?
A:法人格が必要で、個人では不可。必要な人員(ケアマネ・介護職・看護職など)の配置が必須です。
Q:補助金はありますか?
A:自治体によっては施設整備費や運営補助の制度がある場合があります。
Q:採算が取れるまでの期間は?
A:開設後1〜2年で入居者が安定し、稼働率が高まれば黒字化しやすいです。