夜間対応型訪問介護 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、人員基準・設備要件・費用・運営の実務ポイントまで徹底解説します。
結論:夜間対応型訪問介護はこんな方におすすめ
- 夜間帯(18時〜翌朝8時)の生活支援や安否確認を提供したい方
- 単身高齢者や夜間の見守りニーズに対応したい方
- 訪問介護に加え、夜間専用の事業を展開して地域のセーフティネットを強化したい方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:常勤1名(兼務可、介護職員経験が望ましい)
- 夜間対応オペレーター:常時待機(利用者からの通報受付、安否確認対応)
- 夜間対応訪問介護員:通報時に利用者宅へ訪問できる体制(複数名でシフト)
- 計画作成担当者:介護支援専門員(ケアマネ、兼務可)
設備基準
- 事務所(夜間も連絡体制を維持できるスペース)
- 通信設備(通報端末やオペレーター用電話回線)
- 利用者宅に設置する通報機器(緊急通報装置)
- 夜間訪問のための移動手段(車両・バイク・自転車など)
法人・許認可
- 法人格:株式会社・社会福祉法人・NPO法人など
- 指定権者:都道府県または中核市・政令市
- 必要書類例:
- 法人登記事項証明書・定款
- 運営規程・人員体制表
- 勤務表・職員資格証明
- 収支予算書・事業計画書
- 事務所平面図・通信体制の説明書類
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 事務所整備費:200万〜600万円
- 通報システム・機器導入:300万〜800万円(利用者宅設置分含む)
- 車両・バイク等:100万〜300万円
- 人件費予備(3か月分):800万〜1,200万円
- 合計:1,400万〜2,900万円程度
月次収支モデル(例:利用者40名程度)
- 収入:300万〜500万円(介護報酬+夜間対応加算)
- 支出:人件費250万〜350万円、機器リース費・通信費50万〜80万円、事務所経費30万〜50万円
- 利益:数十万円規模(稼働率・利用者数に依存)
※利用者数が少ない場合は赤字リスクが高く、地域での利用見込み調査が不可欠です。
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 自治体の介護保険事業計画で夜間対応型訪問介護の位置づけを確認
- 法人設立または既存法人での事業追加
- 事務所・通信体制・通報機器の整備
- 人員確保(オペレーター・夜間ヘルパー)
- 運営規程・勤務シフト作成
- 指定申請(都道府県等)
- 指定取得後、地域ケアマネジャー・包括支援センターへ周知し利用者募集
よくあるQ&A(FAQ)
Q:訪問介護との違いは?
A:通常の訪問介護は日中中心ですが、夜間対応型は「18時〜翌朝8時に特化」して安否確認や生活援助を行います。
Q:夜間帯は必ず通報機器を設置するのですか?
A:はい。利用者宅に緊急通報装置を設置し、オペレーターが24時間待機して対応します。
Q:小規模法人でも運営できますか?
A:可能ですが、人員シフト確保が課題です。地域連携や委託方式を活用する場合もあります。
Q:補助金はありますか?
A:自治体により「通報装置導入補助」「整備費補助」が設けられているケースがあります。
Q:採算は取りやすいですか?
A:利用者数が少ないと赤字リスクが高いため、地域の需要把握とケアマネへの周知が重要です。