【元管理者が作る】介護の夜勤記録|そのまま使える例文テンプレートとAIで負担を減らす書き方

夜勤記録の負担を軽減する様子を表現したアイキャッチ画像。左側は手書きの記録に疲れている介護士、右側はAIを搭載したタブレットを使い笑顔で記録する介護士が対比されている。 人材不足対策
介護AI戦略室:イメージ

【元管理者が作る】介護の夜勤記録|そのまま使える例文テンプレートとAIで負担を減らす書き方

「夜勤明けで疲れているのに、記録に時間がかかってつらい…」「”良眠”と書いていいのか、もっと具体的に書くべきか迷う…」

介護の夜勤業務において、記録はご利用者の安全を翌日のスタッフに繋ぐための命綱です。しかし、少ない人数で多くのご利用者を見守る中、正確かつ簡潔な記録を負担なく作成することに悩む方は少なくありません。

この記事では、介護業界で20年以上、施設管理者として数多くの記録を指導・監修してきた私が、そんなあなたの悩みを解決します。

明日からそのまま使える「夜勤記録テンプレート」を具体的に提示し、夜間特有の記録のコツ、そして最終的に記録の負担を劇的に軽くするAI活用法まで、現場のリアルな視点で徹底解説します。

なぜ夜勤の介護記録は重要なのか?その3つの目的

夜勤の介護記録の重要性を象徴するイラスト。複数の介護士がリレー形式で情報を共有し、高齢者の安全を守る様子。

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夜勤の記録は、日中の記録以上に重要です。それは、夜間のわずかな変化が、ご利用者の体調急変や事故の予兆となることが多いためです。以下の3つの重要な目的を担っています。

  1. ケアの継続性と質を担保するため:夜間のわずかな変化(咳、体動、うわごと等)を記録することで、日勤スタッフが体調不良の予兆を察知し、先回りしたケアに繋げられます。
  2. チーム・多職種連携のため:介護士だけでなく、看護師や医師、ケアマネジャーも記録を読みます。あなたの記録が、医療的な判断やケアプランの見直しに役立つ重要な情報源となります。
  3. 介護サービスの証明と職員を守るため:記録は、適切なケアを提供した法的な証拠(エビデンス)です。万が一の事故やトラブルの際に、事実に基づいた記録がご利用者と職員自身を守ります。(出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1221」

【私のリアル体験】
ある夜勤で「就寝中に寝返りがほとんどない」と記録したことがありました。その小さな記述を気にした日勤スタッフが体圧分散ケアを強化し、結果的に褥瘡(床ずれ)の初期段階での発見に繋がったのです。些細な事実の記録が、ご利用者の苦痛を防ぐことを実感した出来事でした。

【コピーOK】そのまま使える夜勤記録テンプレートと例文

夜勤記録のテンプレートがExcelやスプレッドシートの表としてパソコン画面に表示されている画像。項目と具体的な入力例が分かりやすく記載されている。

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夜勤で特に重要となる「巡視」と「睡眠」に焦点を当てたテンプレートをご用意しました。まずはこの型に沿って書くことから始めてみてください。

夜間帯 介護記録(〇〇様)
巡視時間 ご利用者の様子・特記事項
22:00 訪室時、開眼されていたが、声かけにて穏やかに入眠される。
0:00 【睡眠状態】呼吸穏やか。大きな体動なく熟眠されている様子。
2:00 ナースコールあり。【訴え・要望】「トイレに行きたい」とのことでポータブルトイレへ誘導。【排泄】中等量の排尿あり。【対応後】ふらつきなくベッドへ戻り、すぐ再入眠。
4:00 【睡眠状態】寝返り数回あり。いびきなく静かに入眠中
6:00 訪室時、自然に開眼される。「よく眠れましたか?」の問いに「はい」と笑顔で返答あり。【特記】夜間、途中覚醒1回のみで朝まで良眠

【重要】睡眠状態の書き分け方:「良眠」「熟眠」「入眠中」

介護記録で睡眠状態を書き分ける重要性を表現したイラスト。「入眠中」「熟眠」「良眠」の3つの状態をそれぞれ異なるアイコンで分かりやすく示している。

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テンプレートにもあるように、睡眠状態の表現は使い分けると情報がより正確になります。

  • 入眠中:単に「眠っている状態」を示す、最も基本的な表現。
  • 熟眠:深い眠りに入っている様子。呼吸が安定し、多少の物音では起きない状態。
  • 良眠:夜間全体を通しての評価。途中で起きる回数が少なく、朝スッキリと目覚めた様子がうかがえる場合に使う総括的な表現。

夜勤記録の質を上げる!特に注意すべきポイント

介護記録で「書いてはいけない言葉(悪い例)」と「書くべきこと(良い例)」を対比した画像。主観的な表現と客観的な事実が分かりやすく比較されている。

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分かりやすい記録を書くには、言葉選びが重要です。特に夜勤記録で注意すべきは、客観的な事実を記述することです。以下のポイントを意識しましょう。

巡視で観察すべき5つの必須項目

夜間の巡視は、ただ安否を確認するだけではありません。以下の5つの項目を意識して観察し、変化があれば記録に残しましょう。

  1. 呼吸の状態:リズムは規則的か、いびきや無呼吸、苦しそうな呼吸はないか。
  2. 表情・顔色:穏やかか、苦痛の表情はないか、顔色が悪くないか。
  3. 体位・体動:不自然な姿勢ではないか、寝返りはうてているか、頻繁にもぞもぞして(手または足を動かして)いないか。
  4. 皮膚の状態:発汗の有無、皮膚の湿潤状態(失禁の可能性)。
  5. 周辺環境:ベッド柵は適切か、点滴や経管栄養のチューブに問題はないか。

※「記録におけるNGワード」など記録全般の基礎知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。

究極の効率化へ!AI介護記録が夜勤の負担をなくす未来

AI介護記録システムによる効率化を表現したイラスト。介護士がスマホに向かって話すだけで、音声が自動的にテキスト化されて記録される様子。

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手書きやPC入力での記録は、どうしても時間がかかり、夜勤職員の大きな負担となっています。その根本的な解決策として期待されているのが「AI介護記録システム」です。

AI介護記録の3大メリット

  • 音声入力で記録が完了:巡視中に「〇〇さん、2時、排尿あり。異常なし」とインカムやスマホに話すだけで、AIが自動でテキスト化し、記録を作成。記録のためだけに詰所に戻る必要がなくなります。
  • 記録の標準化と抜け漏れ防止:AIが記録すべき項目を提案してくれるため、新人でもベテランでも一定水準の質の高い記録を残せます。「書き忘れ」をAIが防いでくれます。
  • 予測とアラート機能:日々の記録データをAIが分析し、「このご利用者は転倒リスクが高まっています」「バイタルに普段と違う傾向があります」といった予兆を通知。事故を未然に防ぐ支援をします。

厚生労働省なども、介護分野へのAI導入が業務効率化と人材不足の緩和に繋がる可能性を指摘しています。(出典: 厚生労働省「介護分野の生産性向上〜お知らせ〜」厚生労働省「介護分野の生産性向上〜お知らせ〜」

まとめ:良い記録は、良いケアの第一歩

この記事では、介護の夜勤記録について、すぐに使える例文テンプレートから未来のAI活用まで解説しました。

  • 夜勤記録は、ケアを繋ぎ、ご利用者と職員を守るための重要なエビデンスである。
  • まずはテンプレートを使い、「時間」「事実」「対応」を客観的に書く練習をする。
  • 「良眠」「熟眠」など睡眠状態を書き分け、NGワードを避けるだけで記録の質は格段に上がる。
  • 記録業務の負担は、AIの音声入力などを活用することで劇的に削減できる。

忙しい夜勤業務の中で、記録は後回しになりがちな業務かもしれません。しかし、あなたの残した一行が、翌日のケアの質を高め、ご利用者の安心な一日を創り出します。この記事が、あなたの記録業務の負担を少しでも軽くする一助となれば幸いです。

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