介護医療院 開設ガイド(完全版)

医療と介護が統合された介護医療院の建物イラスト。慢性期医療、長期療養、医療介護連携を象徴するアイコンが描かれている。
介護AI戦略室:イメージ

介護医療院 開設ガイド(完全版)

元管理者の視点で、人員基準・設備・費用・開設手順・補助金・運営の実務ポイントまで徹底解説します。

結論:介護医療院はこんな方におすすめ

  • 慢性期医療と長期介護の両方を一体的に提供したい方
  • 医療法人として病院の転換を検討している方
  • 地域包括ケアシステムの中で医療・介護の中間的役割を担いたい方

開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)

人員基準

  • 施設長:医師(常勤1名以上、管理者を兼務)
  • 医師:常勤1名以上(入所者数に応じ配置)
  • 看護職員:入所者6名につき1名以上(20:1配置)
  • 介護職員:入所者3名に対して常勤換算1名以上
  • 栄養士:1名以上
  • 介護支援専門員(ケアマネ):1名以上
  • リハビリ専門職(PT・OT・ST):入所者数に応じて配置
  • 薬剤師:必要に応じ配置

設備基準

  • 療養室(1室4人以下、1床あたり床面積8㎡以上)
  • 診察室・処置室・医務室
  • 食堂・機能訓練室
  • 浴室(一般浴・特殊浴槽)
  • トイレ(バリアフリー設計)
  • 調理室・洗濯室
  • スプリンクラー・非常用設備

法人・許認可

  • 法人格:医療法人(原則)、病院からの転換が多い
  • 設置許可:都道府県知事の認可(介護医療院開設許可+介護保険事業者指定)
  • 必要書類例
    • 定款・登記事項証明書
    • 施設整備計画書・収支予算書
    • 建物の設計図・設備概要書
    • 管理者(医師)・職員の資格証明書
    • 消防法・建築基準法関係書類

開設にかかる費用イメージ

初期費用(目安)

  • 新築の場合:15億〜25億円(定員100床規模、地域差あり)
  • 病院転換の場合:改修費1億〜5億円程度
  • 医療・リハビリ設備:5,000万〜1億円
  • 人件費予備(3か月分):7,000万〜1億円
  • 合計:転換型で2〜7億円、新設型で16〜27億円程度

※介護医療院は制度上新設可能ですが、自治体の整備方針や医療療養病床の転換計画に強く依存するため、新設は非常に限られています。
多くの自治体では「既存病院の転換型」を優先しており、新設を希望する場合は事前に都道府県の整備計画や医療計画を確認し、協議が必要です。

月次収支モデル(例:定員100床・稼働率90%)

  • 収入:6,000〜7,500万円(介護報酬+加算)
  • 支出:人件費3,500〜4,500万円、食材費600〜800万円、光熱費400〜600万円、医療材料費400〜600万円
  • 利益:数百万円〜1,000万円程度(加算・病床稼働率により変動)

※介護医療院は、医療療養病床の転換先として整備が進められています。
新設は自治体計画に依存するため、必ず事前に協議が必要です。

開業までの具体的なステップ(チェックリスト)

  1. 地域ニーズ調査(自治体の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を確認)
  2. 医療法人の活用または設立
  3. 施設用地の確保・設計(病院からの転換も可)
  4. 補助金申請(国・自治体の整備補助金)
  5. 人員計画(医師・看護師・介護職・リハ職の確保)
  6. 施設建設・改修工事・竣工検査
  7. 介護医療院開設許可申請(都道府県)
  8. 介護保険事業者指定申請(都道府県)
  9. 運営開始(病院・地域包括支援センター等へ周知)

よくあるQ&A(FAQ)

Q:介護老人保健施設(老健)や特養との違いは?

A:介護医療院は「医療と生活の両方を長期に提供できる施設」です。老健は在宅復帰を目的とした中間施設、特養は生活の場が中心という点で異なります。

Q:誰でも開設できますか?

A:原則として医療法人が開設主体です。病院からの転換が多いです。

Q:補助金はありますか?

A:はい。国庫補助や自治体の基盤整備補助金が活用できる場合があります。

Q:長期入所は可能ですか?

A:はい。医療と介護が一体で提供されるため、終身利用も可能です。

Q:黒字化の目安は?

A:入所率が安定すれば1〜2年程度で黒字化が可能です。医療区分の高い入所者の受け入れや加算取得が収支に直結します。

taka careのイラスト

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