訪問介護(ホームヘルプ) 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、要件・費用・人員・開設手順・補助金・注意点まで徹底解説します。
結論:訪問介護(ホームヘルプ) はこんな方におすすめ
- 初期投資を抑えつつ在宅支援を始めたい方
- 地域の高齢化に合わせて介護ビジネスを立ち上げたい方
- 介護職経験者で独立を目指す方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:常勤1名(資格要件は不要だが、他職務との兼務は制限あり)
- サービス提供責任者:1名以上(介護福祉士など)
- 訪問介護員(ヘルパー):利用者数に応じて配置(初期は数名から可)。常勤換算で最低でも2.5名以上(サービス提供責任者も含む)
※常勤換算や兼務の可否など、自治体の運用基準で差があるため、事前確認が必要です。
設備基準
- 事務所(運営管理に必要な広さ・通信環境)
- 事務机・電話・パソコン・記録用システム
- 介護用具(吸引器や移乗補助具などは必要に応じて)
- 訪問用車両または公共交通での移動体制
住宅併設型や賃貸物件でも開設可能ですが、居住部分と分けられることが条件です。
法人・許認可
- 法人格:株式会社、合同会社、社会福祉法人、NPO法人など
- 指定申請:市区町村または都道府県(事業所所在地により異なる)
- 必要書類例:
- 事業計画書・収支予算書
- 定款・登記事項証明書
- 管理者・サービス提供責任者の資格証明書
- 就業規則・雇用契約書
- 平面図・賃貸契約書
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 事務所賃貸契約・内装:50〜150万円
- 事務備品・IT機器:30〜100万円
- 車両(必要に応じて):50〜200万円
- 人件費予備(3か月分):300〜600万円
- 合計:430~1,050万円
月次収支モデル(例:利用者40名規模)
- 収入:330〜530万円(介護報酬)
- 支出:人件費270〜400万円、賃料・光熱費30〜60万円、車両・備品維持費15〜25万円
- 利益:45〜95万円(黒字化は利用者獲得スピードに依存)
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 市場調査・利用見込みの算定(地域包括支援センター等でニーズ把握)
- 物件選定・設備計画(賃貸か持ち物件か、立地条件を検討)
- 人員計画(採用・研修、資格要件の確認)
- 法人設立(必要な場合)・行政への指定申請
- 運営開始(ケアマネジャーへの周知、紹介ルート開拓)
よくあるQ&A(FAQ)
Q:このサービスは賃貸でも始められますか?
A:はい。事務所要件を満たし、居住スペースと明確に区分できれば賃貸でも可能です。
Q:補助金は使えますか?
A:はい。国の「小規模事業者持続化補助金」や地方自治体の介護事業支援補助金が利用可能な場合があります。詳細は各自治体の福祉課に確認してください。
Q:黒字化までどのくらいかかりますか?
A:一般的には6か月〜1年程度です。ご利用者紹介の体制づくりが成功の鍵です。
Q:管理者は資格が必要ですか?
A:資格要件はありませんが、介護現場経験やマネジメント経験がある人材が望ましいです。