特定福祉用具販売 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、人員基準・設備・費用・開設手順・補助金・注意点まで徹底解説します。
結論:特定福祉用具販売はこんな方におすすめ
- 在宅介護を支えるために用具を販売する事業を始めたい方
- 福祉用具貸与や訪問介護と組み合わせて収益を拡大したい方
- 比較的少ない初期投資で介護保険サービスに参入したい方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:常勤1名(専従が原則。他事業との兼務は可)
- 福祉用具専門相談員:1名以上(選定・相談・販売計画策定を担当)
※専門相談員資格は「福祉用具専門相談員指定講習修了者」「OT/PT」「看護師」などが対象です。
設備基準
- 事務所(相談・契約を行えるスペース)
- 商品展示・管理スペース(必須ではないが推奨)
- 帳票・記録管理の体制(紙または電子)
法人・許認可
- 法人格:株式会社、合同会社、社会福祉法人、NPO法人など
- 指定申請:都道府県または市町村(介護保険事業者指定申請)
- 必要書類例:
- 事業計画書・収支予算書
- 登記事項証明書・定款
- 管理者・福祉用具専門相談員の資格証明書
- 就業規則・雇用契約書
- 事務所の賃貸契約書・平面図
取り扱える特定福祉用具(販売対象)
介護保険で特定福祉用具販売の対象となるのは以下の6種目です。
- 腰掛便座(ポータブルトイレ、補高便座など)
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、入浴台、浴槽内いすなど)
- 簡易浴槽(工事を伴わない設置型浴槽)
- 移動用リフトのつり具部分
- 排泄予測支援機器の交換可能部品(対象地域に限る)
※原則として、貸与に不向きな用具が販売対象となります。
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 事務所の賃借料・保証金:50〜150万円
- 商品仕入れ(在庫確保):200〜500万円
- 人件費予備(3か月分):200〜400万円
- 合計:450〜1,050万円
月次収支モデル(例:ご利用者50名規模)
- 収入:200〜400万円(介護報酬+利用者自己負担分)
- 支出:人件費150〜250万円、仕入・在庫費50〜100万円、事務所維持費30〜50万円
- 利益:20〜50万円(利用者獲得・在庫回転率により変動)
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 市場調査(地域の需要・競合事業者を確認)
- 事務所の確保(相談・契約が行える環境)
- 人員計画(福祉用具専門相談員を1名以上確保)
- 法人設立・行政への指定申請
- 運営開始(ケアマネジャー・包括支援センターへ周知)
よくあるQ&A(FAQ)
Q:福祉用具貸与と一緒に運営できますか?
A:はい。多くの事業者は「貸与」と「販売」を同一事業所で運営しています。
Q:在庫は必須ですか?
A:最低限の在庫は必要ですが、メーカー直送を活用することで在庫リスクを減らすことができます。
Q:補助金は使えますか?
A:はい。地域によって「介護基盤整備」「中小企業支援」などの補助制度が対象となる場合があります。
Q:黒字化までの期間は?
A:販売数の確保次第ですが、半年〜1年程度で安定するケースが多いです。