地域密着型通所介護 開設ガイド(完全版)
元管理者の視点で、人員基準・設備要件・費用・収支モデル・運営の実務ポイントまで徹底解説します。
結論:地域密着型通所介護はこんな方におすすめ
- 定員18名以下の小規模デイサービスを運営したい方
- 地域の高齢者に家庭的な雰囲気の通所サービスを提供したい方
- 中重度の方も含め「通い」で在宅生活を支えたい方
開設に必要な要件(人員・設備・法人要件)
人員基準
- 管理者:1名(常勤・専従が望ましい、資格要件は不要)
- 生活相談員:常勤1名以上(社会福祉士、介護福祉士、社会福祉主事任用資格等)
- 介護職員:利用者の人数に応じて2.5:1以上の配置
- 看護職員:1名以上(非常勤配置可)
- 機能訓練指導員:理学療法士、作業療法士、柔道整復師など(兼務可)
設備基準
- 通所用の事業所スペース(食堂・機能訓練室を兼ねられる)
- 静養室(ベッド設置)
- トイレ(車いす対応が望ましい)
- 入浴設備(個浴または機械浴)
- 送迎用車両(福祉車両であることが望ましい)
法人・許認可
- 法人格:株式会社・NPO法人・社会福祉法人など
- 指定権者:市町村(地域密着型のため、開設地域の自治体が指定)
- 必要書類例:
- 法人登記事項証明書・定款
- 運営規程・人員体制表
- 勤務表・資格証明書
- 収支予算書・事業計画書
- 平面図・設備一覧・送迎体制資料
開設にかかる費用イメージ
初期費用(目安)
- 物件取得・改修費:500万〜1,500万円
- 備品・家具・入浴設備:300万〜800万円
- 送迎車両:200万〜500万円
- 人件費予備(3か月分):600万〜1,000万円
- 合計:1,600万〜3,800万円程度
月次収支モデル(例:定員15名・稼働率80%)
- 収入:400万〜600万円(介護報酬+加算)
- 支出:人件費250万〜350万円、家賃・光熱費30万〜70万円、送迎費用20万〜40万円
- 利益:50万〜150万円(利用者数と加算取得に依存)
※安定黒字化には稼働率70%以上が目安です。
開業までの具体的なステップ(チェックリスト)
- 自治体の介護保険事業計画でニーズを確認
- 法人設立または既存法人で事業追加
- 物件選定・改修(バリアフリー対応)
- 人員確保(相談員・介護職・看護職)
- 運営規程・勤務シフト策定
- 指定申請(市町村)
- 指定取得後、ケアマネジャー・包括支援センターへ周知
よくあるQ&A(FAQ)
Q:通常規模の通所介護との違いは?
A:地域密着型通所介護は「定員18名以下」と小規模に限定され、市町村が指定権者となります。
Q:小規模ならではのメリットは?
A:家庭的な雰囲気で利用者との関係性が深まりやすく、中重度の方も通いやすい環境を作れます。
Q:開設にあたり特別な資格は必要ですか?
A:法人としての指定要件を満たせば可能です。個人ではなく法人格が必須です。
Q:補助金はありますか?
A:自治体によっては改修費や送迎車両購入に対して補助制度がある場合があります。
Q:採算が合うまでの期間は?
A:開設から半年〜1年程度で利用者が定着し、稼働率70%前後で安定黒字化に入るケースが多いです。