【元管理者が解説】介護職の個人目標と評価の例文集|そのまま使える書き方
「個人目標、何を書けばいいか思いつかない…」「部下の評価、どう書けば成長に繋がるんだろう?」
介護現場における人事評価や目標設定は、多くの職員と管理者にとって、年に数回の悩みの種ではないでしょうか。目標設定は、日々の頑張りを正当に評価し、次へのモチベーションに繋げるための重要なプロセスですが、その書き方一つで効果は大きく変わります。
この記事では、介護業界で20年以上、一職員としても施設管理者としても目標設定と評価に深く関わってきた私が、双方の視点から、この悩みを解決するための具体的な方法を徹底解説します。
職員向けには、新人からベテランまで経験レベル別にそのまま使える目標例文を多数紹介。管理者向けには、部下のやる気を引き出す評価の書き方を伝授します。さらに、AIを活用した未来の人事評価まで、この記事一枚で全てが分かります。
【全職員向け】成長に繋がる「個人目標」設定の基本

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効果的な目標設定は、日々の業務に目的意識をもたらし、専門職としての成長を加速させます。まずは、誰にでも応用できる目標設定の基本原則を学びましょう。
目標設定の最強ツール「SMARTの法則」
「利用者に寄り添う」のような漠然とした目標では、何をすればよいか分からず、評価も難しくなります。そこで役立つのが、目標を具体的で達成可能なものにするためのフレームワーク「SMARTの法則」です。
- S (Specific):具体的で分かりやすいか?
- M (Measurable):測定可能か?(数値で測れるか?)
- A (Achievable):達成可能か?
- R (Relevant):自分の役割や事業所の目標と関連しているか?
- T (Time-bound):期限が明確か?
【SMART化の例】
悪い例:「利用者の残食を減らす」
良い例:「(S)食事介助の方法を工夫し、(T)3ヶ月後までに、(R)担当するAさんの夕食の残食率を(A)平均20%から10%に(M)改善する」
このようにSMART化するだけで、目標が具体的な行動計画に変わります。(参考:厚生労働省「介護サービス事業における 生産性向上に資する ガイドライン 改訂版」)
【経験レベル別】そのまま使える!介護職の個人目標 例文集

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「SMARTは分かったけど、具体的な目標が思いつかない…」そんな方のために、経験年数別にすぐに使える例文を用意しました。ご自身の状況に合わせてアレンジしてください。
【新人・1~2年目向け】基礎スキルの習得がテーマ

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まずは基本業務を安全・確実に遂行できるようになることが目標です。
- 目標例1(移乗介助):「3ヶ月後までに、先輩の付き添いなしで、トランスファーボードを使用したベッド⇔車いす間の移乗介助を5名の利用者に安全に行えるようになる。」
- 目標例2(報告・連絡・相談):「担当利用者の状態で少しでも変化を感じた際は、必ずその日のうちにリーダーへ報告することを徹底し、ヒヤリハット報告を月1件以上起票する。」
- 目標例3(知識習得):「認知症ケア基礎研修のeラーニングを半年以内に全て修了し、学んだ声かけの方法を週3回以上実践する。」
【中堅職員向け】応用力と後輩指導がテーマ

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チームの中核として、ケアの質向上と後輩育成への貢献が期待されます。
- 目標例1(個別ケア):「担当するB様のケアプランを見直し、B様が望む『散歩』の時間を月2回確保するための具体的な手順を作成し、多職種カンファレンスで提案する。」
- 目標例2(後輩指導):「新人職員のOJT担当として、週に1回30分の面談時間を設け、技術的な疑問点をその場で解決できる体制を作る。」
- 目標例3(業務改善):「現在の排泄ケアの介助方法の問題点を洗い出し、3ヶ月以内に改善案をまとめ、ユニット会議で発表する。」
【ベテラン職員向け】組織貢献と専門性の追求がテーマ

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豊富な経験を活かし、チームや事業所全体をリードする役割が求められます。
- 目標例1(リスクマネジメント):「施設内のリスクマネジメント委員会の中心メンバーとして、過去1年間の転倒事故報告書を分析し、新たな予防策を立案・実行する。」
- 目標例2(専門性):「看取りケアに関する専門資格(例:認定介護福祉士)の取得を目指し、今年度中に受験要件である研修を全て修了する。」
- 目標例3(組織運営):「地域の介護事業者連絡会に月1回参加し、得た情報を自施設に持ち帰り、チームのサービス向上に繋がる提案を行う。」
(キャリアパスの参考:認定介護福祉士認証・認証機構「認定介護福祉士の役割と実践力」)
【管理者向け】部下の成長を促す評価の記入方法と面談のコツ

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【元管理者の視点】
私が管理者として最も心掛けていたのは、評価を「査定」ではなく「未来への投資」と捉えることです。評価面談は、部下の頑張りを認め、課題を共有し、次の一歩を一緒に考えるための時間。ただ「できた」「できない」を伝えるだけでは、部下のやる気は引き出せません。
評価コメントのOK例・NG例

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評価の記入では、具体的な行動に基づいた客観的な事実と、成長を期待する前向きな言葉を組み合わせることが重要です。
NG例(抽象的で主観的):
「コミュニケーション能力に課題がある。もっと頑張ってほしい。」
OK例(具体的で次につながる):
「ご家族への報告において、こまめに連絡を入れる姿勢は素晴らしいです。今後は、報告内容に『ご本人の発言』を具体的に加えることで、よりご家族の安心に繋がると思います。次期は、その点を意識して取り組んでみましょう。」
面談で心がけるべき3つのこと

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- まず「承認」から入る:面談の冒頭では、必ず相手の頑張りや成果を具体的なエピソードを交えて認め、感謝を伝えます。
- 「指導」ではなく「対話」:一方的に課題を指摘するのではなく、「この目標を達成するために、何か困っていることはある?」「私にサポートできることは?」と問いかけ、一緒に考える姿勢を見せます。
- 次のアクションを具体的に決める:面談の最後には、「では、明日から具体的に〇〇を始めてみようか」と、次の小さな一歩を一緒に決めて終えます。
【未来の働き方】AI戦略で人事評価と目標管理をDX化する

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「評価者の主観に左右される」「記録や評価シートの作成が大変」といった従来の人事評価の課題は、AIとDX(デジタルトランスフォーメーション)によって解決されようとしています。
- 客観的なデータに基づく評価:AIは、日々の介護記録やセンサーから得られるデータを分析し、「〇〇さんは離床介助の回数が他の職員より多い」といった客観的な事実を提示。これにより、評価の公平性・納得性が向上します。
- 個別最適化された目標提案:AIが職員のスキルや過去の目標達成度を分析し、「あなたの次のステップとして、〇〇の研修がおすすめです」といった個別の成長プランを提案してくれます。
- 評価業務の自動化と効率化:評価シートのドラフト作成や、目標の進捗管理をAIが自動で行うことで、管理者は評価作業そのものではなく、部下との対話という本質的な業務に集中できるようになります。
AIは評価者を代替するのではなく、客観的なデータを提供し、より質の高いコミュニケーションをサポートする強力なパートナーとなるのです。(参考:厚生労働省「介護分野における生産性向上の取組の進め方」)
まとめ:目標設定と評価は、未来の自分とチームを創る設計図

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この記事では、介護職の個人目標と評価について、職員と管理者の両方の視点から解説しました。
- 【職員向け】目標設定は「SMARTの法則」を使い、具体的で測定可能な行動計画に落とし込む。
- 【職員向け】目標が思いつかない時は、自分の経験レベルに合った例文を参考に、次の小さな一歩を見つける。
- 【管理者向け】評価は「査定」ではなく「未来への投資」。具体的な行動を承認し、次のアクションを一緒に考える。
- 【未来】AI/DXを活用することで、人事評価はより客観的で、一人ひとりの成長に寄り添うものへと進化する。
目標設定と評価は、決して面倒な義務ではありません。自分自身の成長を可視化し、チーム全体のケアの質を高め、そして何より、日々の仕事に誇りとやりがいを見出すための、最も効果的なツールなのです。
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