【元管理者が試算】特養の費用シミュレーション|月額はいくら?年金で入れる?
「特養に入りたいけれど、毎月の支払いが心配」「年金だけで足りるのだろうか?」
特別養護老人ホーム(特養)の入居を検討する際、最も大きな壁となるのが「お金(費用)」の問題です。「特養 費用 シミュレーション」と検索されたあなたも、漠然とした不安を数字で明確にしたいと考えているのではないでしょうか。
特養の費用は一律ではありません。要介護度、世帯の所得、貯蓄額、そして選ぶ部屋のタイプ(多床室かユニット型か)によって、月額数万円〜15万円以上の差が生まれます。
この記事では、時には特養の職員や事務職員として多くのご家族の相談に乗ってきた私が、費用の内訳からリアルなシミュレーション、知っておかないと損をする「減免制度」について解説します。また、記事の後半では、最新の「AI活用」がいかに現場の無駄を省き、利用者のケアに還元されているか、現場の視点でお伝えします。
1. 特養の費用構造:毎月かかるお金の内訳

介護AI戦略室:イメージ
シミュレーションの前に、まずは「何にお金がかかるのか」を整理しましょう。特養の請求書は、主に以下の4つの要素で構成されています。
| 費目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| ① 施設介護サービス費 | 介護を受けるための費用。要介護度によって決まる。1割〜3割の自己負担。 | 2〜3万円(1割負担の場合) |
| ② 居住費(滞在費) | 部屋代。多床室か個室かで大きく異なる。 | 多床室:約2.5万円 ユニット個室:約6万円 ※減免制度あり |
| ③ 食費 | 1日3食+おやつの費用。 | 約4.5万円 ※減免制度あり |
| ④ 日常生活費・その他 | 理美容代、医療費、日用品など。実費負担。 | 1〜3万円(個人差あり) |
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」をもとに作成
「3割負担」になるのはどんな人?
介護サービス費は原則1割負担ですが、ご本人の所得が高い場合、2割または3割負担になります。「3割負担だと払えないのでは?」と不安になる方もいますが、対象となるのは「本人の合計所得金額が220万円以上、かつ世帯収入が一定以上(単身で340万円以上など)」の高所得層に限られます。
私の経験上、特養入居者の8〜9割の方は「1割負担」です。毎年届く「介護保険負担割合証」を必ず確認しましょう。
2. 【パターン別】特養費用シミュレーション

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それでは、具体的な金額を見ていきましょう。「多床室(相部屋)」と「ユニット型個室」では、費用が全く異なります。
パターンA:費用を抑えたい場合(多床室・1割負担)
- 要介護度:要介護3
- 居室タイプ:多床室(従来型)
- 世帯状況:住民税非課税世帯(年金収入のみなど)
★月額目安:約 6万〜9万円
※「負担限度額認定」が適用された場合の金額です。適用されない場合は10〜12万円程度になります。
パターンB:環境重視の場合(ユニット型個室・1割負担)
- 要介護度:要介護4
- 居室タイプ:ユニット型個室
- 世帯状況:一般世帯(課税世帯・貯蓄あり)
★月額目安:約 13万〜15万円
※ユニット型は光熱費込みの居住費が高く設定されています。
元管理者からのアドバイス
「ユニット型」は個室でプライバシーが守られ、手厚いケアが受けやすいメリットがありますが、費用は高くなります。「年金のみ」で入居を希望される場合、預貯金を取り崩していく計画になるか、減免制度が適用されるかが死活問題となります。
3. 知らないと損する「費用減免」と「医療費控除」

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特養の費用を抑えるために絶対に知っておくべき制度が2つあります。
① 負担限度額認定制度(食費・居住費の軽減)
所得と預貯金額が一定の基準以下の場合、申請することで食費と居住費が大幅に安くなります。これが「年金のみで特養に入れる」最大の理由です。
- 対象者:住民税非課税世帯で、預貯金等が基準額以下(単身で1,000万円以下など段階による)
- 効果:月額で3万〜6万円程度安くなるケースも。
申請しないと適用されないため、入居時に必ず施設相談員に確認してください。(出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額認定制度」)
② 医療費控除でいくら戻ってくる?
「特養の費用は医療費控除の対象ですか?」という質問もよく受けます。結論から言うと、特養費用のうち「介護サービス費」「食費」「居住費」の自己負担分の【2分の1】が医療費控除の対象となります。
訂正と注意:
以前は「1/2が対象」と言われていましたが、正確には「領収書に記載された医療費控除対象額」を確認する必要があります。一般的に特養(指定介護老人福祉施設)では、「施設サービス費(1割負担分など)」の半額、および「食費・居住費」の半額が対象と認められています。
年間で支払った額の半分が控除対象となるため、確定申告をすることで、所得税や住民税が数万円単位で還付・軽減される可能性があります。領収書は捨てずに保管しておきましょう。(出典:国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービス費」)
4. 費用対効果を高める「AI活用」と介護の未来

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費用を払う側からすれば、「高いお金を払うのだから、質の高いケアをしてほしい」と願うのは当然です。ここで今、注目されているのが介護現場でのAI活用です。
AIができること:事務作業を減らし、ケアを増やす
私が管理者をしていた当時、最も頭を悩ませていたのが「記録業務」の多さです。手書きの記録や複雑なシフト作成に追われ、職員が利用者様と向き合う時間が削られていました。
そこで導入したのが、AIによる「音声入力記録システム」や「シフト自動作成ツール」です。
【実例】AI導入で削減できた時間
実際に私の施設でAIツールを導入した結果、驚くべき効果が出ました。
- 記録時間:職員1人あたり月間約10時間の削減(残業代の抑制にも寄与)
- シフト作成:管理者が毎月3日かけていた作業が半日で完了
この「削減できた時間」は、決して手抜きに使われるわけではありません。「ご家族への電話連絡を丁寧に行う」「ゆっくりと話し相手になる」といった、人にしかできないケアの時間に充てることができました。
これからの施設選びでは、単に費用の安さだけでなく、「AIなどのテクノロジーを活用して、職員が余裕を持って働けているか」を見ることも、良いケアを受けるための重要なポイントです。
まとめ:特養費用の不安を解消するために

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特養の費用は複雑に見えますが、ポイントを押さえれば怖くありません。
- 月額費用:多床室なら約8〜10万円、ユニット型なら約13〜15万円が目安。
- 減免制度:年金収入のみの方は「負担限度額認定」の申請を忘れずに。
- 医療費控除:費用の約半分が控除対象。領収書は必ず保管。
- 施設選び:AI活用などで業務効率化が進んでいる施設は、ケアの質も高い傾向にある。
まずは、ケアマネジャーや施設の相談員に、源泉徴収票や通帳を持参して「私の場合、具体的にいくらになりますか?」とシミュレーションを依頼してみてください。正確な数字を知ることが、安心への第一歩です。


