【元管理者が教える】低所得でも入れる老人ホームの選び方｜費用10万円以下の現実解

「年金が少なくて、入れる施設なんてない…」「貯金が底をつきそうで不安…」

高齢者施設への入居を考える際、最大の壁となるのが「費用」です。特に国民年金のみの方や低所得の方にとって、月額15万〜20万円もかかる有料老人ホームは高嶺の花に見えるかもしれません。

しかし、諦める必要はありません。この記事では、介護業界で20年以上、数々の経済的な相談に乗り、ご入居を支援してきた私が、低所得の方でも安心して暮らせる施設を見つけるための具体的な「戦略」を解説します。

「月10万円以下」を実現するための公的制度のフル活用術から、施設の選び方、さらにはAI活用で運営コストを下げ、利用しやすい価格を実現する未来の施設まで。この記事を読めば、あなたに合った「現実的な選択肢」が必ず見つかります。

【結論】低所得でも入れる施設は「ある」。ただし戦略が必要
【最重要】費用を「月10万円以下」に抑えるための3つの制度
元管理者が教える「入れない」を防ぐための実践テクニック
【未来の希望】AI活用で「安くて質の高い」施設が増える？
1. AIによるコスト削減の実例
まとめ：情報は武器。諦めずに探し続けよう

【結論】低所得でも入れる施設は「ある」。ただし戦略が必要

低所得者が入居できる可能性のある3つの公的施設（特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム（ケアハウス）、養護老人ホーム）の、費用目安と主な対象者を対比して示した図。

介護AI戦略室:イメージ

まず結論から申し上げます。低所得（国民年金のみ、生活保護受給など）の方でも入れる施設は存在します。しかし、漫然と探していては見つかりません。以下の3つの選択肢を軸に、戦略的に探す必要があります。

施設の種類	費用の目安（月額）	特徴
① 特別養護老人ホーム（特養）	約6万〜14万円（所得に応じ変動）	要介護3以上が原則。所得が低いほど費用が安くなる仕組みがある。
② 軽費老人ホーム（ケアハウス）	約7万〜13万円（所得に応じ変動）	自立〜軽度介護向け。「一般型」と「介護型」がある。
③ 養護老人ホーム	0円〜（徴収金）（前年度所得による）	経済的・環境的に困窮している方が対象。入所は行政措置（役所が決定）。

【最重要】費用を「月10万円以下」に抑えるための3つの制度

老人ホームの費用を月10万円以下に抑えるために最も重要な3つの公的制度（介護保険負担限度額認定証、高額介護サービス費、社会福祉法人による軽減制度）の仕組みを、費用が減額される様子で示した図。

介護AI戦略室:イメージ

上記の施設に入居する際、さらに費用を抑えるために絶対に知っておくべき制度があります。これらを知っているかどうかで、月々の支払額が数万円変わります。

1. 介護保険負担限度額認定証（食費・居住費の軽減）

所得や資産が一定以下の方（生活保護、市民税非課税世帯など）が、特養などの介護保険施設を利用する際、「食費」と「居住費（部屋代）」が大幅に減額される制度です。

通常：食費約1,445円/日＋居住費約840円/日（多床室） ≒ 月額約6.8万円
第1段階（老齢福祉年金受給者等）：食費 300円/日＋居住費 0円/日 ≒ 月額約0.9万円

このように、認定を受ければ月額6万円近い減額になる場合もあります。必ず申請しましょう。（出典：厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」）

2. 高額介護サービス費（利用料の払い戻し）

1ヶ月に支払った介護サービス費の自己負担額（1〜3割負担分）が、所得に応じた上限額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。一般的な低所得者（市民税非課税世帯）の上限額は月額24,600円です。

3. 社会福祉法人による利用者負担軽減制度

社会福祉法人が運営する施設（特養など）では、特に生計が困難な方に対し、利用料の一部を独自に減免する制度を実施している場合があります。自治体によって実施状況が異なるため、役所の窓口で確認が必要です。

元管理者が教える「入れない」を防ぐための実践テクニック

低価格施設の高い競争率を乗り越えるための3つの実践テクニック（多床室の選択、広域検索、入居申込書の特記事項の詳細記載）を、戦略的な行動として示したイラスト。

介護AI戦略室:イメージ

低価格な施設は人気が高く、待機者が多いのが現実です。しかし、ただ待っているだけでは順番は回ってきません。

テクニック①：特養は「多床室（相部屋）」を狙う

個室（ユニット型）は居住費が高く、減額制度を使っても月額13〜14万円程度かかることがあります。一方、従来型の多床室（4人部屋など）なら、費用を大幅に抑えられます。プライバシーの面では劣りますが、経済的な持続可能性を最優先するなら、多床室への申し込みを検討すべきです。

テクニック②：広域で探す（都心より郊外）

お住まいの地域にこだわらず、少し郊外や隣接する市町村まで範囲を広げてみてください。地価の安い地域では、施設の利用料設定自体が安かったり、空きが出やすかったりする傾向があります。

テクニック③：入居申込書には「特記事項」を詳細に書く

特養の入所順位は、単なる先着順ではなく「必要度の高さ」で決まります。「在宅介護が限界である理由（介護者の病気、経済的困窮など）」を申込書の備考欄や別紙に詳細に記載し、切実な状況をアピールすることが重要です。

【未来の希望】AI活用で「安くて質の高い」施設が増える？

AI活用がもたらす「安くて質の高い」介護施設という未来像。AIが人件費や事務コストを削減することで、利用料の値上げを抑制しつつ、職員の負担を減らし、結果的に質の高いケアを提供する好循環を示したイラスト。

介護AI戦略室:イメージ

「安い施設は、サービスが悪いのでは？」という不安もあるでしょう。しかし今、AI（人工知能）の活用によって、コストを抑えながら質の高いケアを提供する施設が増えつつあります。

AIによるコスト削減の実例

AI見守りセンサー：夜間の巡回を効率化し、少ない夜勤職員でも安全を確保。人件費（残業代）を削減。
AI記録システム：音声入力で記録時間を半減。事務コストを削減。
AI需要予測：食材の廃棄ロスや備品の無駄を削減。

【元管理者の視点】
私が管理していた施設では、AIシステムを導入することで、職員の残業時間を月間数百時間削減しました。このコスト削減分は、施設の運営費を抑えることに繋がり、結果として利用料の値上げを抑制し、質の高いスタッフを確保する原資となりました。AIを活用している施設は、経営努力によって「安くて良いサービス」を実現しようとしている可能性が高いのです。