【元管理者が解説】住宅型有料老人ホームの7つの問題点とAIによる解決策|介護付との違い
「住宅型有料老人ホームって、介護付と何が違うの?」「費用が安いけど、何か問題点や欠点があるんじゃ…」
施設選びの際、「住宅型有料老人ホーム」は魅力的な選択肢の一つですが、その仕組みを正しく理解していないと、入居後に「こんなはずじゃなかった」という大きなギャップに直面する可能性があります。
この記事では、介護業界で20年以上、施設管理者として現場のリアルを見てきた私が、ご家族が不安に感じる住宅型有料老人ホームの「問題点」を、包み隠さず徹底的に解説します。
「囲い込み」の実態、認知症ケアや看取りの課題、そして、これらの問題をAI・DX技術がどう解決し、現場の負担を減らしていくのか。ネガティブな情報だけでなく、明るい未来の姿までをお届けします。
【最重要】最大の問題点は「介護サービスが別契約」という仕組み

介護AI戦略室:イメージ
住宅型有料老人ホームのほとんどの問題点は、その根本的な仕組みである「外部サービス利用型」という点に集約されます。
まずは、「介護付」との決定的な違いを表で見てみましょう。
| 項目 | 住宅型有料老人ホーム | 介護付有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 介護サービス | 外部の事業所と「別途契約」 (訪問介護、デイサービスなど) |
施設が「直接提供」 (24時間、施設スタッフが対応) |
| 介護費用 | 使った分だけ支払う「従量課金制」 | 介護度に応じた「月額定額制」 |
| 月額費用(目安) | 安い(介護度が低い場合) | 高い(介護サービス費が定額で含まれるため) |
| 人員基準(日中) | 生活相談員など(介護職員の配置義務なし) | 手厚い(要介護者3:職員1など) |
(参考:厚生労働省「有料老人ホームの概要」)
この「外部サービス利用型」という仕組みが、以下で解説する様々な問題点を生み出す原因となっています。
元管理者が解説する「住宅型」7つの問題点とAIによる解決策

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問題点①:介護度が上がると、費用が「介護付」より高くなる
住宅型は、介護サービスを使った分だけ費用が発生する「従量課金制」です。そのため、介護度が低いうちは安く済みますが、介護度が上がり、訪問介護の回数やデイサービスの利用が増えると、月額の介護サービス費が青天井で高くなります。
【解決策】AIによる費用シミュレーション
入居相談時、AIがご本人の状態や将来予測に基づき、「要介護3になった場合、月額費用は〇〇円になります」といったシミュレーションを自動で提示。ご家族は将来の費用を正確に把握した上で、介護付と住宅型を比較検討できます。
問題点②:夜間や緊急時の対応が手薄になりがち
住宅型には、介護付のような手厚い人員配置義務(例:3:1)がありません。多くの施設では、夜間はスタッフが1名のみ、あるいは巡回のみというケースも。そのため、夜間の急変や転倒時に、迅速な対応が遅れるリスクがあります。
【解決策】AI見守りセンサーの導入
居室に設置されたAIセンサーが、ご利用者の呼吸、心拍、離床、転倒を24時間自動で検知。異常があれば即座にスタッフのスマートフォンに通知します。少ない人員でも、テクノロジーが「目」の代わりとなり、夜間の安全性を飛躍的に高めます。これにより職員の巡回負担も減り、ご利用者の睡眠を妨げることもなくなります。
問題点③:重度化(認知症・医療ケア)に対応できず「退去」になる
問題点②とも関連しますが、人員体制が手薄なため、認知症の周辺症状(徘徊・不穏など)が強くなったり、医療的ケアが必要になったりすると、「ここでは対応できません」と退去を求められるケースがあります。「終の棲家」と思って入居したのに、最も介護が必要な時期に新たな施設を探さなければならない。これが最大の欠点の一つです。
【解決策】AIによる予兆検知と情報連携
AIが見守りデータや日々の記録を分析し、「〇〇様、最近夜間の離床回数が増加。認知症のBPSD(周辺症状)の兆候です」といった変化の予兆を早期に通知。職員が先手で対応できます。また、データを訪問診療医やケアマネジャーとクラウドで共有することで、重度化しても医療・介護が一体となって迅速に対応できる体制を構築できます。
問題点④:サービスの「囲い込み」が起きやすい
住宅型は外部サービスを利用しますが、その訪問介護やデイサービスが、施設と同じ運営会社の「系列事業所」で固められてしまうケースがあります。これが「囲い込み」です。本来は自由に選べるはずのサービスが制限され、競争原理が働かず、ケアの質が低下する温床となります。
【解決策】介護保険法とAIによる牽制
まず、このような囲い込みは法令で禁止されています。(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第八条)
将来的には、AIが「この施設の入居者の9割以上が、特定の事業所を利用している」といった不自然なデータを検知し、行政に通報するような仕組みも期待されます。入居時は必ず「ケアマネジャーや訪問介護は、自分で選べますか?」と確認しましょう。
問題点⑤:「看取り」に対応していない施設が多い
「最期までここで」と願っても、夜間の看護師配置がない住宅型では、医療的な管理が必要となる終末期の「看取り」に対応できない施設が多数です。結果として、最期は病院へ搬送・入院となるケースが多くなります。
【解決策】訪問看護とのICT・AI連携
施設が24時間対応の訪問看護ステーションと強力に連携し、ICT(情報通信技術)でバイタルデータや状態を常時共有。AIが異常の予兆を検知すれば、すぐに訪問看護師が駆けつけられる体制を構築することで、施設での看取りの可能性が高まります。(参考:厚生労働省「在宅医療の推進」)
問題点⑥:職員の業務負担が「大変」
「住宅型は楽」と思われがちですが、実際は逆です。施設職員(生活支援員)の仕事と、外部の訪問介護員の仕事が明確に分かれておらず、グレーゾーンの業務(「ちょっとナースコールが鳴ったから対応して」など)が発生しがち。少ない人員で広範な業務を担うため、非常に「大変」な職場でもあります。
【解決策】AI・ICTによる業務の切り分けと効率化
AI搭載のナースコールが要件(「トイレ」「体調不良」など)を判断し、適切な担当者(施設職員 or 訪問介護員)に自動で振り分け。記録もAIが音声入力で自動化します。これにより業務範囲が明確になり、職員のストレスと負担を大幅に軽減できます。
問題点⑦:施設の「財務諸表」が見えにくい
介護付と異なり、社会福祉法人以外の株式会社等が運営する住宅型は、詳細な財務諸表の公開義務が緩やかです。そのため、経営状況が健全かどうか、利用者側から見えにくいという問題があります。(※社会福祉法人は公開義務あり)
【解決策】開示情報の確認
これはAIでは解決できません。入居一時金の保全措置が講じられているか、運営懇談会が定期的に開かれ、経営状況がご家族に説明されているかなど、透明性を確認することが自衛策となります。(参考:厚生労働省「財務諸表等電子開示システム」)
まとめ:問題点を理解し、テクノロジーで解決する未来へ

介護AI戦略室:イメージ
住宅型有料老人ホームの問題点は、その多くが「介護サービスが外部委託」であるという仕組みに起因しています。
- 介護度が低い、または自立しているうちは「住宅型」は費用も安く最適。
- 介護度が上がるにつれ、「費用」「安全」「対応力」の面で「介護付」に逆転されるリスクがある。
- 入居前に「どこまで介護度が上がったら住み続けられるか」を必ず確認することが重要。
- これらの問題点の多くは、AI見守りセンサーやICT連携などのテクノロジーで解決可能になりつつある。
【元管理者からの提言】
これからの施設選びは、単に「住宅型か、介護付か」で選ぶ時代ではありません。「AIやICTを積極的に導入し、人員不足や制度上の欠点をテクノロジーで補い、安全性を高めているか」という新しい視点で選ぶ時代です。AIの力で、職員の負担が少なく、ご利用者が安心して暮らせる明るい未来は、もう始まっています。
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