【元管理者が解説】ショートステイと老健の違いとは?費用・目的・期間を徹底比較
「ショートステイを使いたいけど、『老健』と『特養』どっちがいいの?」「そもそも、ショートステイと老健って何が違うの?」
介護サービスを選ぶ際、この2つの違いは非常に分かりにくく、混乱しているご家族やケアマネジャーも少なくありません。目的や費用、受けられるケアが全く異なるため、この違いを理解しないまま選んでしまうと、「思ったようなサービスが受けられなかった」という事態になりかねません。
この記事では、介護業界で20年以上、施設管理者として両方のサービス連携に関わってきた私が、この複雑な違いを日本一わかりやすく解説します。
あなたの(ご家族の)状態にはどちらが向いているのか、費用や人員配置の違い、そしてAIの活用で介護現場がどう変わろうとしているのかまで。この記事を読めば、もう施設選びで迷いません。
【最重要】「ショートステイ」はサービス名、「老健」は施設名

介護AI戦略室:イメージ
まず、最大の混同ポイントを整理します。この2つは、比較する土俵が異なります。
- ショートステイ(短期入所生活介護):
「短期間、施設に宿泊する」という“サービスの名前”です。 - 老健(介護老人保健施設):
「在宅復帰のためのリハビリを行う」“施設の種類”の名前です。
「ショートステイ」というサービスは、主に2種類の施設で提供されています。
- 特別養護老人ホーム(特養)に併設されたショートステイ
- 介護老人保健施設(老健)に併設されたショートステイ
つまり、多くの方が悩む「ショートステイと老健の違い」とは、正しくは「特養のショートステイと、老健のショートステイの違い」なのです。どちらも「お泊り」ですが、その目的と機能が全く異なります。
【徹底比較】「特養ショートステイ」 vs 「老健ショートステイ」

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では、具体的に何が違うのか。ご利用者の目的別に比較してみましょう。
| 項目 | 特養併設ショートステイ (短期入所生活介護) |
老健併設ショートステイ (短期入所療養介護) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 家族の休息(レスパイト) 日常生活の介護(食事・入浴・排泄) |
在宅復帰のためのリハビリ 医療的管理・看護・機能訓練 |
| 人員配置 | 介護職員が中心(医師は非常勤が多い) | 医師が常勤、看護師、リハビリ専門職(PT/OT/ST)が常駐 |
| 費用感(1割負担) | 比較的安価(医療的ケアが少ないため) | 比較的高価(医療・リハビリ体制が手厚いため) |
| こんな方におすすめ | ・家族が旅行や冠婚葬祭で不在になる ・介護者が体調を崩し、一時的に休みたい ・医療的ケアは特に必要ない |
・病院を退院した直後で、自宅に戻るのが不安 ・集中的なリハビリが必要 ・痰の吸引や経管栄養など、医療的管理が必要 |
(出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」)
老健とは、そもそも「在宅復帰」を目指す施設
老健(介護老人保健施設)の最大の使命は、ご利用者を「在宅復帰」させることです。そのため、医師やリハビリ専門職が常駐し、医療的管理と集中的な機能訓練を行います。老健のショートステイ(短期入所療養介護)は、そのリハビリ機能を短期間で利用するサービスなのです。
特養のショートステイは「生活」の場
一方、特養(特別養護老人ホーム)は「終の棲家」とも呼ばれる生活の場です。そこのショートステイ(短期入所生活介護)は、リハビリ専門というよりは、施設での「日常生活」を体験してもらいつつ、ご家族の介護負担を軽減(レスパイト)することが主な目的となります。
【元管理者の経験談】
私が管理者だった頃、ご家族から「骨折で入院し、退院したばかり。少し休ませたい」という相談を受けました。このケースでは、私は迷わず「老健のショートステイ」をお勧めしました。なぜなら、退院直後はまだ医療的な管理が必要で、かつ集中的なリハビリで機能回復が見込めるからです。もしこの方を「特養のショートステイ」に入れていたら、専門的なリハビリが受けられず、在宅復帰が遠のいていたかもしれません。目的によって、選ぶべき場所は全く違うのです。
【未来の介護】AI・DXが「きつい」現場の負担を軽減する

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どちらの施設も、介護職員や看護師、リハビリ専門職が連携してケアにあたりますが、人手不足の中での情報共有や記録業務は、現場の大きな負担(きつさ)となっています。
この「負担」を軽減し、職員が専門性を発揮できる時間を生み出すのが、AI(人工知能)とDX(デジタルトランスフォーメーション)です。
AIにできること①:記録・情報共有の自動化
バイタルサインや食事摂取量、リハビリの実施内容などを、タブレットや音声入力で記録。AIがそれらのデータを自動で集計・分析し、日々の報告書やケアプランの評価書を自動作成します。これにより、職員は「書類仕事」から解放され、ご利用者と向き合う時間が増えます。
AIにできること②:リハビリ効果の「見える化」
老健のリハビリでは、成果を出すことが求められます。AI搭載のカメラやセンサーが、ご利用者の歩行速度や姿勢、関節の可動域などを客観的にデータ化。リハビリの効果が「見える化」されることで、ご利用者のモチベーション向上に繋がり、職員も根拠に基づいた計画の見直しが可能になります。(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」)
AIにできること③:安全管理と負担軽減
AI見守りセンサーが、夜間の離床や転倒リスクのある動きを検知し、職員に通知。これにより、夜間の巡回負担を減らしつつ、安全性を高めることができます。また、パワーアシストスーツなどの介護ロボットが、移乗介助などの身体的負担を軽減します。(参考:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」)
【これからの介護現場】
AIは、介護職員の仕事を奪うものではありません。むしろ、データ分析や単純作業といった「きつい」部分をAIが肩代わりし、人間は「寄り添う」「励ます」「触れ合う」といった、人間にしかできない温かいケアに集中できるようになる。AIと人の協働こそが、人材不足の時代における介護の質の向上と、職員の負担軽減を両立させる鍵なのです。
まとめ:「リハビリ・医療」なら老健、「生活・介護」なら特養

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「ショートステイと老健の違い」について、ご理解いただけたでしょうか。最後に、あなたがどちらを選ぶべきかのポイントをまとめます。
- 医療的ケアや集中的なリハビリが必要な場合(退院直後など)
→ 老健(介護老人保健施設)のショートステイがおすすめです。 - ご家族の休息(レスパイト)が主目的で、日常生活の介護(食事・入浴など)をお願いしたい場合
→ 特養(特別養護老人ホーム)のショートステイがおすすめです。
どちらのサービスも、在宅介護を支える重要な社会資源です。最も大切なのは、ご利用者の現在の状態と、利用する「目的」を明確にすること。迷った時は、必ず担当のケアマネジャーに相談し、ご本人にとって最適な選択をしてください。


